ふとした瞬間、
予想だにしていなかった事態に見舞われ、想像もしていなかった状況に身を置かざるを得なくなるときがある。
あの日、果たすはずだった約束も。
あの日、会えると思っていた「手」も。
全てなくしてしまった。
だけど、
そんな全てが消えた先でも、
それでも出会える「手」があった。
差し出されたその「手」の中に、あの日読むはずだった言葉はもう刻まれていないのかもしれない。
どんなに目をこらしても、
どんなに想像を膨らませても、
あの日の「手」にはもう会えない。
一瞬、一瞬の営みによって紡ぎ出される言葉は、今この瞬間だけの言葉。
申し訳なさと、口惜しさをグッと飲み込みながら、
ひたすら、目の前の言葉だけを読ませてもらった。
そしたらね、帰り際に
「あの日じゃなくて、今日でよかったです。」
そう言ってもらえた。
後悔しても反省しても
どうやっても取り返せないこともあるけど、
必要なときには、
会えるときには、必ず会える。
そう思えてきて、心がフッと軽くなった。
私も、今日でよかったです。