彼女の【手】に
初めて出会ったのは2年前。
息をひそめたくなるほどの繊細さと、
息を飲むほどの豪胆さ。
そんな両極端の性質が手の中で共存している。
しかも右手と左手、どちらとも。
予想通り、
メガネをかけて眺めた手のひらは、痛々しいほど傷だらけだった。
突き進めば突き進むほど、四方八方から無数に刃が突き刺さってくる…
そんな様子が頭をよぎる。
「大変だね…。よくやってるね。」
とにもかくにも、
自分を守る術を早急に身につけてなくてはならないよね。
それには、
どんな刃にも負けない、頑丈な「鎧」を手に入れること。
そして、外の世界とつながるときには、意識的にぬかりなく装着すること。
どれだけ伝わるかはわからないけど、時間めいっぱい言葉を重ねた。
そして、
先日、彼女の【手】と再会した。
相変わらずのきれいな手。
つい、見とれてしまう。
くたびれてないかなぁ。
ボロボロになってないかなぁ。
ドキドキしながらメガネをかけると……
そんな心配は杞憂に終わった。
「なにがあったの?
めっちゃ強くなってる!!」
触れた瞬間に分かってしまうほどその【手】は逞しくなっていた。
彼女は間違いなく「鎧」を手に入れていた。
「目標が見つかったんだね。」
私の言葉をすました顔で受け流す。
核心なんて語らない。
他愛のない、すっとんきょうな質問を私に投げかけて、彼女はご機嫌で帰って行った。
きっと、
いつだって、どんなときだって、常に刃と対峙して傷ついているはず。
でも、今の彼女は傷の痛みにうずくまってなんかいられないのだろう。
欲しいものは必ず手に入れる。凄まじい力を持った【手】だからね。
見定め、
手を伸ばし、
歩を進めていく。
猛ダッシュで駆けていく、
その後ろ姿があなたらしい。
あっぱれ!!!