ある夜、
手相読み後に
雑談していたときのこと。
「手相読みしてて、
この手、嫌いだなぁ。
て、思うことあります?」
と、ふいに聞かれた。
「えっ~と、嫌いな手ですか…」
ちょっと驚いたけど、
さっきまで読んでいた、いかにもその【手】らしい問いかけに、思わず笑ってしまった。
物事の捉え方や感じ方。
言葉の選び方。
他者との距離の取り方。
趣味嗜好……などなど。
その一つ一つが合わさって、
その人らしさができていく。
【手】には、それらがしっかりと刻まれている。
手相読みをしていると、
その人の成り立ちや仕組みが見えてくる感じがする。
だから、
たとえ私自身とかけ離れた思考や感覚の【手】だったとしても「なるほどな」と思えてくる。
共感とは違うけど、
納得させられるというか、
応援したくなるというか、
味方でいたくなる。
だから
あの夜の質問には
「嫌いな手なんてありませんよ。」
そう答えた。
はい、もちろん。
あなたのその【手】もね。