あなたは
「なりたい自分」に近づこうと
「もっともっと」
「ちがうちがう」
「まだまだ」
そう叱咤しながら
気絶するほどの負荷をかけて、
息を潜めながら
足音ひとつたてず進み続ける。
「らしさ」は業ですか?
たしかに、
そうかもしれない。
だけどね、
血だらけになりながら、
カラカラに干からびながら、
「らしくない」姿で静かに微笑むあなたを思うと、
たとえ、それが業の報いなのだとしても、
「らしい」姿でいてほしいと願ってしまう。
「らしく」はだめですか?
あなたが
これ以上の苦しみを
自らに課すことがありませんように。
侵食してくる寂しさに
全てを明け渡してしまわないように。
かつて、
あなたの差し出す【手】に救われたひとりとして、
あなたへ【手】を差し出すひとりでありたいと思う。
どうか。
どうか。