手のひら日記

【コーリングのときどき手のひら日記】2023.7.12  手のひらからのメッセージ

彼女の【手】に
初めて出会ったのは2年前。

息をひそめたくなるほどの繊細さと、
息を飲むほどの豪胆さ。
そんな両極端の性質が手の中で共存している。
しかも右手と左手、どちらとも。

予想通り、
メガネをかけて眺めた手のひらは、痛々しいほど傷だらけだった。

突き進めば突き進むほど、四方八方から無数に刃が突き刺さってくる…
そんな様子が頭をよぎる。

「大変だね…。よくやってるね。」

とにもかくにも、
自分を守る術を早急に身につけてなくてはならないよね。
それには、
どんな刃にも負けない、頑丈な「鎧」を手に入れること。
そして、外の世界とつながるときには、意識的にぬかりなく装着すること。

どれだけ伝わるかはわからないけど、時間めいっぱい言葉を重ねた。

そして、
先日、彼女の【手】と再会した。

相変わらずのきれいな手。
つい、見とれてしまう。

くたびれてないかなぁ。
ボロボロになってないかなぁ。

ドキドキしながらメガネをかけると……
そんな心配は杞憂に終わった。

「なにがあったの?
めっちゃ強くなってる!!」

触れた瞬間に分かってしまうほどその【手】は逞しくなっていた。
彼女は間違いなく「鎧」を手に入れていた。

「目標が見つかったんだね。」

私の言葉をすました顔で受け流す。
核心なんて語らない。
他愛のない、すっとんきょうな質問を私に投げかけて、彼女はご機嫌で帰って行った。

きっと、
いつだって、どんなときだって、常に刃と対峙して傷ついているはず。
でも、今の彼女は傷の痛みにうずくまってなんかいられないのだろう。

欲しいものは必ず手に入れる。凄まじい力を持った【手】だからね。

見定め、
手を伸ばし、
歩を進めていく。

猛ダッシュで駆けていく、
その後ろ姿があなたらしい。

あっぱれ!!!

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