「僕って、おきあがりこぼしみたいですね。」
【手相読み】の終盤、
私の言葉を要約するように彼は言った。
「おきあがりこぼし」かぁ。
なんとも、なんとも。
私が口にする言葉に対する、
冷静な分析と、
温かみあふれる眼差し。
あまりに秀逸な例えに
おもわず拍手してしまった。
かつて、
若い頃の彼は…
あれ??
いやいやいや、
今だって若い年齢だったわ…。
でも、
ついそう表現してしまうような、落ち着いた空気感に包まれていている。
安定感が半端ない。
えぇっと…、
話を戻そう。
かつて若い頃の彼は、
「平凡な自分…、
個性のない自分…、
ごくごく普通の自分を打破して、個性溢れる人間を目指さないといけない。」
そう思っていたそう。
でも、現在の彼は、
「僕、やっぱり普通なんですよね。」
と、言って微笑んだ。
たしかに、
彼の【手】は、
個性的な印象の【手】ではない。
でも、それは
個性がないわけでも、
無能なわけでもない。
エッジの効いた、それこそ手に余るような強烈な「個性」を持たされていない、というだけ。
「個性」て、
【手相読み】をしていると、
つくづく、初めから「持たされてるもの」なんだよなぁ、と思う。
「こうなりたい!」と願い、努力しようとも、
必ずや手に入るという類いのものではない。
彼の手の中に溢れる「個性」、それは圧倒的な「安定感」。
両足で大地の上に立ち、
目の前に広がる世界を360°ぐるりと見つめ、
未来に向かって両手を伸ばし、
心の望むほうへ歩みを進める。
その姿に気負いも衒いもない。
軽やかに、しなやかに。
そう、
「おきあがりこぼし」のよう
にね。
これからも
その「安定感」で
たくさんの人に「安心」や「平穏」を届けてあげてほしいな。
それと、
「明るい未来」も。
あなたを待ってる人がいるからね。
いってらっしゃい!!