彼女に初めて会ったのは、
20年前。
あれは産まれて何ヵ月経った頃だったかな。
ようやくおすわりができるようになった彼女は、色とりどりのおもちゃに囲まれてご機嫌な様子で遊んでいた。
先日、
久しぶりに彼女を見かけた。
大人の雰囲気漂うお姉さんに成長した彼女は、
ご機嫌な様子で踊っていた。
夢見がちで、
繊細な【手】をした彼女にとって、
現実と切り離された「夢の世界」は、
自由でいられる唯一の場所。
そこに存在するのは、
彼女ひとり。
他には誰も存在しない。
無限に広がる孤独な世界で、
彼女が【手】にしているのは、
「オト」と「コトバ」。
仲よく戯れながら、
至福のひとときを享受する。
彼女の笑顔は
とびきりの輝きを放ち、
世界の垣根をポーンと飛び越えて、私のところにまで届いてきた。
「ようやく、タカラモノを【手】に入れたんだね。」
嬉しくて、ホッとして、
涙が止まらなかった。