手のひら日記

【コーリングのときどき手のひら日記】2024.8.21  夏の書道パフォーマンス

先日、
高校生による「書道パフォーマンス」を
目の前で、初めて見た。

「書道」とはいえ、
「パフォーマンス」というだけあって、
始まる前からそこかしこからドラマチックでキラキラした空気✨が醸し出されていて、つい足を止めてしまった。

高揚した面持ちで正面を見据える瞳✨

上衣と袴に飛び散った墨や朱の滲み✨

たくしあげられた袖からのぞく腕✨

墨で汚れた「手」✨

女の子のポニーテールと
男の子の白ハチマキ✨

私の妄想力は
キラキラ✨✨の刺激を受けて、
使い込んだプラスチックの手桶にさえ趣を感じてしまう始末。

パフォーマンスを満喫する心の準備はもう万端。

「早く始まれ~~」

ソワソワしながら待っていると、
高校生らしい選曲のJ-POPが流れ始めた。

曲に合わせてフォーメーションを変えながら、
巨大な紙の上に立つと、
大きなかけ声とともに筆を振り上げ、パフォーマンスが始まった。

一人一人が
一心不乱に
一字一字したためていく。

筆を持つ「手」と
それに操られる「筆」の動き。

筆先に向かって
全身のエネルギーが
「手」を通して送り込まれていく。

「すごいっ!!」

あ~、だけど、
ひとつ残念なことが…。

私、
彼女たちと同じ高さのところで見ていたので、
どんな「字」を書いているのかがさっぱりわからなくて…。

「あ~、絶対に
流れてる曲の歌詞を書いているんだよ~。
も~、後ろの櫓から見せて~。」

歯がゆい思いで
会場に設営されてる櫓を眺めていたら…、
あちらにもこちらにも文字が書かれてるじゃない!

同時多発だから
あっという間に進行しちゃうのよね…。集中集中!!

大慌てでパフォーマンスに意識をもどすと、
ステージ下手側にみんなが集結している。

「ふむふむ…これは次の一文字で完成しちゃう雰囲気かな~。
お?!でも、ちょっと待って。
上手側に一人残ってる子がいるじゃん!」

その子は、
でっかいブロックみたいなものを抱えて、下を向いている。

「えっ?裏方の一年生?
なんかトラブってる?大丈夫??」

ついつい保護者の気分で見守っていると、
彼女はステージ隅っこにしゃがみこむと、
ブロックに赤い液体を塗り始めた。

「なに…あれ?」

ペタペタペタ…

わき目もふらず手を動かし、何度も何度も塗り重ねている。

「まだ塗る?もうよくない?」

ペタペタペタペタ………
ペタペタペタペタ………

「あっ?…あれ?!」

ようやく脳内で彼女の担う役割が理解できた。

「落款だ!!」

ちょうどそのタイミングで
彼女はブロックを手にスッと立ち上がると、
紙の左下隅に移動した。

そして次の瞬間、

「ドン! 」

迷うことなく
ブロックを押しつけて、
パフォーマンスは終了した。

その後、
出来上がった作品は
彼女たちの「手」によってゆっくりと持ち上げられ、観客にお披露目された。

雲ひとつない青天の下、
見上げるほどの大きな作品は
風に煽られながら
キラキラと煌めいていた。

うまれたてホヤホヤの
青春の輝き✨は
とっても綺麗だった。

書道部のみなさん、
猛暑の中、
ステキなパフォーマンスを
ありがとうございました!!

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