先日、
高校生による「書道パフォーマンス」を
目の前で、初めて見た。
「書道」とはいえ、
「パフォーマンス」というだけあって、
始まる前からそこかしこからドラマチックでキラキラした空気✨が醸し出されていて、つい足を止めてしまった。
高揚した面持ちで正面を見据える瞳✨
上衣と袴に飛び散った墨や朱の滲み✨
たくしあげられた袖からのぞく腕✨
墨で汚れた「手」✨
女の子のポニーテールと
男の子の白ハチマキ✨
私の妄想力は
キラキラ✨✨の刺激を受けて、
使い込んだプラスチックの手桶にさえ趣を感じてしまう始末。
パフォーマンスを満喫する心の準備はもう万端。
「早く始まれ~~」
ソワソワしながら待っていると、
高校生らしい選曲のJ-POPが流れ始めた。
曲に合わせてフォーメーションを変えながら、
巨大な紙の上に立つと、
大きなかけ声とともに筆を振り上げ、パフォーマンスが始まった。
一人一人が
一心不乱に
一字一字したためていく。
筆を持つ「手」と
それに操られる「筆」の動き。
筆先に向かって
全身のエネルギーが
「手」を通して送り込まれていく。
「すごいっ!!」
あ~、だけど、
ひとつ残念なことが…。
私、
彼女たちと同じ高さのところで見ていたので、
どんな「字」を書いているのかがさっぱりわからなくて…。
「あ~、絶対に
流れてる曲の歌詞を書いているんだよ~。
も~、後ろの櫓から見せて~。」
歯がゆい思いで
会場に設営されてる櫓を眺めていたら…、
あちらにもこちらにも文字が書かれてるじゃない!
同時多発だから
あっという間に進行しちゃうのよね…。集中集中!!
大慌てでパフォーマンスに意識をもどすと、
ステージ下手側にみんなが集結している。
「ふむふむ…これは次の一文字で完成しちゃう雰囲気かな~。
お?!でも、ちょっと待って。
上手側に一人残ってる子がいるじゃん!」
その子は、
でっかいブロックみたいなものを抱えて、下を向いている。
「えっ?裏方の一年生?
なんかトラブってる?大丈夫??」
ついつい保護者の気分で見守っていると、
彼女はステージ隅っこにしゃがみこむと、
ブロックに赤い液体を塗り始めた。
「なに…あれ?」
ペタペタペタ…
わき目もふらず手を動かし、何度も何度も塗り重ねている。
「まだ塗る?もうよくない?」
ペタペタペタペタ………
ペタペタペタペタ………
「あっ?…あれ?!」
ようやく脳内で彼女の担う役割が理解できた。
「落款だ!!」
ちょうどそのタイミングで
彼女はブロックを手にスッと立ち上がると、
紙の左下隅に移動した。
そして次の瞬間、
「ドン! 」
迷うことなく
ブロックを押しつけて、
パフォーマンスは終了した。
その後、
出来上がった作品は
彼女たちの「手」によってゆっくりと持ち上げられ、観客にお披露目された。
雲ひとつない青天の下、
見上げるほどの大きな作品は
風に煽られながら
キラキラと煌めいていた。
うまれたてホヤホヤの
青春の輝き✨は
とっても綺麗だった。
書道部のみなさん、
猛暑の中、
ステキなパフォーマンスを
ありがとうございました!!