買い物の途中、古本屋へ立ち寄った。
予定してはいなかったけれど、なぜか足が向いてしまったので。
ーあら、珍しい。
らしくならい行動してるじゃない。
ーいや、違うみたいよ…。
どうやら、探しモノがあるみたい。
しばらく前から
心のすみっこに引っかかってた、一冊。
立ち読みだけして棚へ戻した、あの本。
タイトルも作者も覚えてないけど…。
ーもう一度会えないかなぁ。
ーそっか。探してみますか。
無計画のしわ寄せ。
メガネ不携帯で絶望的な視界、買い物したシャンプーやら洗剤の入ったエコバッグが腕に食い込んでくる。
捜索するには条件悪過ぎ。
ーたしか、この辺りの棚にあったんだけどなぁ。
眉間にしわ寄せ目を細めて、背表紙を一つ一つ睨み付けていく。
ーない…ない…ない…ない…ない…ない…ない…ない…ない…ない…ない…ないないない…な…いな。
ーあ~、もう限界。
目が…腕が…死んだ……。
結局、何も買わずにお店を後にした。
帰り道は反省会。
「買わない」を選択して手放したはずなのに、
どうして欲しくなったのか、理由を考える。
こたえは簡単。
それは「執着」。
なんか、ちょっとだけ甘えさせてくれそうだったんだよな…。
「あ~、もう!
安易なことしてんじゃない!本との出会い、なめてんじゃない?
そんなやり方してちゃ、必要な情報すら手に入ってこないよ!」
甘えくさった自分に
渇を入れた。
「執着」を握りしめてしまっている手では、それ以上何も掴めない。
大切なものを
必要なタイミングで掴むためには
ギュッとしてる手こそ
フッと緩めないと。
そしたら、
ちゃんと、
何かが手に入るから。
次の出会いはいつ来るのかなぁ。
楽しみに待ちましょう。